日々の実践

1年道徳「ちゃんとのたつじん」の授業で驚いたけれど、大失敗

道徳の授業では、毎回「新しい価値を創り出す」ことを目標にしています。

「新しい価値を創り出す」とは?

ということについては、【新しい価値を創り出す道徳授業〜1年「きんのおの」で驚いた】をお読みください。

新たな価値を創り出す道徳授業 〜1年「きんのおの」で驚いた〜 新たな価値を創り出す道徳授業とは? 新米先生 「新たな価値を創り出す」って何ですか? ポン太先生 「新たな価値を創り出す...

1年「ちゃんとのたつじん」の授業

最終的な授業の板書です。

今回は訳あって、授業時間が30分しかありませんでした。

短い時間なので、

「子どもが十分に発表できなかった」

「子どもはもっと深めたかった」

ということが反省でした…。

導入

今回も定番発問をしました。

まずは「語彙の確認」です。

言葉の意味がわからない子を、そのままにして授業を進めると、

「置いてけぼり」になる子どもが出てしまいます。

ポン太先生

「たつじん」って何ですか?

・うまい人

・できる人

・天才

・プロ

こんな感じの意見でした。

ポン太先生

では「ちゃんとのたつじん」って何ですか?

・約束を守る人

・教えてあげる人

・マナーを守る人

・優しい人

・いつでもできる人

なるほど。

「いつでもできる」というのは、あとから「問いかえし」に使えそうだなぁと感じながら、授業を進めていきました。

展開

今回は、資料の内容がお話ではなく、「2枚のイラストを対比する」という形でした。

「乱雑な靴箱」⇄「整頓された靴箱」

といった対比です。

板書を見ていただきたいのですが、上と下のイラストで、

「ちゃんとしてない」⇄「ちゃんとしている」

という見せ方になっています。

ポン太先生

上と下で何が違うのですか?

この発問によって

「“ちゃんと”の正体が見えるだろう」

と考えていました。

子どもから出てきた意見は、以下のような感じです。

・ならべる

・きれい

・姿勢がいい

・ちゃんと勉強する

・考える

・体を動かす

・顔が楽しそう

・好き嫌いせず食べる

・片付けもする

こうした行動が、

子どもの考える「ちゃんとする」の正体です。

ポン太先生

「ちゃんとする」と、どのような良いことがあるのですか?

・褒められる

・良いことが返ってくる

・他の人を助けられる人になる

このあとは、これらの意見をつなげて、さらに深掘りする子たちが出てきます。

子ども

「良いことが返ってくる」というのは、「恩返し」みたいなものだよ。

子ども

ちゃんとしていなかったら、けっきょく損しちゃうことになるよ。

このあと、私としては、個人的にすごいなぁと感じた意見が出てきます。

子ども

でもさ、本当は…

「損か得か」で考えるんじゃないと思うよ。

「善か悪か」で考えるんだと思うよ。

すごい…と思いました。

しかし…このあと私は、この日一番の大失敗をしてしまいます。

この意見をもっと深めていくべきでしたが、時間が気になり…

もともと用意していた「揺さぶり発問」をしてしまいます。

あとから振り返ると、私は一体何をしたかったのだろうか…と感じました。

「時間がない」

「授業でやるべき内容をやらねば(と勝手に思っている)」

こうした教師の意識は、子どもを中心に据えた授業を阻害します。

今だにこんなミスをしてしまう自分が悲しい…

では…揺さぶり発問の様子です。

揺さぶり発問(余計な)

ポン太先生

でもさ、片付けなんてしない方が、休み時間もたくさん遊べるんじゃないの?

かなり唐突な発問…(~_~;)

にもかかわらず、のってきてくれる子ども達😭

子ども

どっちも大事だけれど、やっぱり片付けをした方が「心はきれい」になるよ。

子ども

「ちゃんとして」いると、生きる時間も長くなるんだよ。

「ちゃんとする」は健康にもなるんだよ。

子ども

そうそう。

おじいちゃんや、おばあちゃんになっても、ちゃんとできる人になれるよ。

ポン太先生

(心の声)

へ?

「ちゃんとする」=「健康」?

「そうそう」って…子ども達は、この言葉の意味を理解しているの?

どういうこと?

私がまごまごしている間に、授業は終了の時刻…

終末

定番のワークシートへの記入時間です。

まだまだ「言いたいことがある!」という子ども達の声をふりきって、

「あとはワークシートに書いてね」

「あとで読むからね」

ポン太先生…かなり無理がありますよね。

子ども達の感想には

・普段がんばっている自分に気づいた姿

・もっとがんばりたいことが見つかった姿

・「ちゃんとしよう」という意欲が高まった姿

などが見られました。

どんな授業でも、健気にひたむきに学ぶ子ども達に、助けられてばかりです。

教師が準備した発問ばかりに縛られてしまう。

結果、子どもの声はスルーしてしまう(絶対ダメです)。

教師は発問を準備しているものの、子どもの声や、子どもから出された問いをひろいながら、授業の流れを変更していく。

当たり前のことかもしれませんが、今回の失敗を反省し、次回は気をつけたいと思います。

先生のみなさん、

忙しい時ほど、時間が限られている時ほど、子どもの声が聞こえなくなります。

お互いに気をつけていきましょう。