日々の実践

1年生の先生に必要なこと③〜もう一歩編〜

はじめに

前記事でもお伝えしましたが、これは私が初めて1年生の先生になって困ったこと、気づいたことを思いつくままに書いています。

前記事の

「②〜基本スキル編〜」では、学期当初に困ったことについて書きました。

1年生の先生に必要なこと②〜基本スキル編〜 はじめに このブログでは何度もお伝えしていますが、私は今年度、先生になって18年目にして初めて、1年生の先生をすることになりまし...

③では、さらに学期が進んで、1ヶ月ほど経った頃に気づいたことを書いていきます。

今年度はコロナウィルス感染症の影響で、1学期は2ヶ月ほどしかありませんでした。

ですから後半1ヶ月で気づいたこと、ということになります。

心がけたこと…の前に

心がけたことをお伝えする前に、

1年生にはどうしても必要な支援があります。それは行動の「可視化」です

つまり、1日の流れや、授業で準備するもの、今日持ち帰るものなどを、

言葉で伝えるだけではなく絵や写真でも“見える化”しておく必要がありました

これもごく当たり前のことらしいのですが、私にとっては大きな発見でした。

これをすることで、子ども達の動きは格段にスムーズになり、指示をする回数がぐんと少なくなりました。

学校生活の1日の流れ…つまり1時間目は何時から何時までで、休み時間は何時から何時まで、給食時間は…といったことも、アナログ時計のイラストと一緒に掲示しています。

心がけたこと

子ども達が登校するまでに全てを終わらせておく

つまり、教材研究や教具の準備、配布物の準備など、その日に必要なことは全て事前にしっかりと終わらせておきます。

もちろん、これは当然のことです。

しかし、

どうしても時間がなくて、教材研究や教具の準備が中途半端なままで、登校時刻をむかえてしまうことがありました。

そんな日は心に余裕がなくなり、子ども達と丁寧に関われなくなりました

笑顔も減ります。

特に教材研究はしっかりと終わらせておくことで、その日の授業が私自身も楽しみになります。

先生が楽しいと子どもも楽しくなります。

そして、

教材研究をすればするほど、1年生は授業を楽しんでくれます

高学年では、どんなに教材研究をしても、手応えを得られない経験を何度もしました。

それが普通だと思っていました。

しかし、1年生は不思議なもので、教材研究をすればするほど、子ども達もそれに応えてくれる気がします。なぜでしょうか…。

1日の流れや配布物を配るタイミング、今日中に子ども達に伝えたいことなども、いつどこで話すのか、という見通しをしっかりと持っておいたほうがいいと感じました。

そうすれば急な予定変更にも対応することができます(先生が)。

常に笑顔でいる

これも先生であれば当たり前…と感じるかもしれません。

ですが意外とそうでもないなぁと私自身は感じました。

1年生は先生の表情や様子をよく見ています。

先生が笑顔で話してくれたら安心して過ごせますし、話しかけやすくなります。

そして、なんとなく今日は楽しい1日だったと思ってくれるようです。

私が「今日は絶対に笑顔で過ごすぞ」と思った日は、不思議と学級も落ち着き、子ども達もルールを守り、がんばって過ごしている気がしました

もしかすると、1年生の精神状態や学習意欲は、「安心感」や「楽しい」という気持ちに支えられているのかもしれません。

こんな風に書きましたが…実は1年生の先生をしていると、朝どんなに気持ちが落ち込んでいても、笑顔で過ごせることがほとんどです。

子ども達が登校してくると、元気に「ぽん太先生!おはようございまーす!」とあいさつをしてくれます。

そして自分のことや楽しかったこと、今日楽しみにしていることなどを、次々に話してくれます。

はっきり言って、めちゃくちゃ可愛いです。

愛おしくなります。

自然と先生も笑顔になっていきます。

1年生の先生は大変ですが、日々子ども達に癒される、という特典付きです。

たくさん驚き、一緒に楽しむ

1年生には「教えないといけないこと」がたくさんあります。

学校生活の約束やマナー、授業の進め方、そうじや給食のこと、学級の当番活動や係活動。

そもそも、“ひらがな”や“数”、ノートの書き方や鉛筆の持ち方まで…学校生活や学習の基礎的なことを、全て1年生で学習するのです。

そうなってくると、

どうしても先生から子ども達への、一方的な関わり方が多くなってくる気がします

しかし、1年生はすごいのです。

1年生は大人以上に、一つの物事から様々なことに気づき、考え、自分で問いをつくることができます

ひらがな1文字だけで30分くらい授業ができるほどです(少し大げさかな…)。

たった一つの文字から、たくさんのことに気がつくのです。

「前に習ったあの文字と、ここが似ている」「でもここは違う」「この文字を使った言葉を知っているよ」「自分でも書いてみたい」「どこをはらうの?はねるの?」「こう書いた方がカッコよく見えるよ」など…全部ひろってしまうと、正直授業が前に進みません。

そのたびに私は「ヘェ〜、なるほど。すごいね!よく気がつくね」と、子どもの姿に驚いています。

それ以外にも、算数や道徳の授業でも、しっかりと考えを深める姿が見られます。

一生懸命な分、その姿は高学年以上に多く見られるかもしれません。

そして1年生は、日々の成長がはっきりと見てとれます。

昨日できなかったことが、次の日にはできるようになっていたりするのです。

ちょっとしたきっかけで、突然生活態度が改善することがあるのです。

もはや奇跡です。

そんな子ども達のがんばっている姿やひらめきに驚き、一緒に楽しんでいくと、1年生の先生って本当に幸せだなぁと感じることができました。

おわりに

1年生の先生になった最初の頃(1ヶ月くらいかなぁ)は、正直本当に苦しかったです。

これまでに培った自分のスキルが全く通用しない、いやむしろ元々何のスキルもなかったのではないか…とさえ思いました。

そこから私を救ってくれたのは、同僚や先輩からの助言、子どもと向き合う姿、たくさんの本でした。

1年生の発達段階に合った言葉、必要な支援を理解できれば、先生としての基本的な姿勢や理念は、高学年でも低学年でも変わらないと感じました。

あとは目の前の子ども達のためだけに教材研究をし、自分にできることを考え、実行していくだけです。

まだまだこれから、大変なことはたくさんあると思いますが…2学期も素敵な1年生と共に、たくさんの驚きと楽しみがある毎日にしたいと思います。