学級活動

ワクワクする楽しい話し合い活動(学級会)

子どもがワクワクしたり、「楽しい」と感じる活動とは、どのようなものでしょうか。

それは、

子どもが「自分で必要だと感じ、何をするかを自分で考えて、自分で行動できる活動」です。

つまり、

自治的な活動ですね。

また、子どもが心からワクワクする、楽しい活動というのは、大騒ぎしたり、無秩序な活動でもありません。

そんな活動が楽しそうだと感じるのは、一時だけです。

「多くの人が幸せになる活動」こそが、真に楽しい、充実感のある活動であることを、子ども達は知っています

「自分もみんなも幸せになれる、自治的な活動」が、ワクワクする楽しい活動です

つまり、そんな活動(実践)をつくるような、話し合い活動を展開すればいい、ということです。

ワクワクする楽しい話し合い活動とは?

新米先生

なるほど!とにかく、みんなが幸せになるような活動を、子ども自身に考えさせて、取り組んでいけばいいのですね!

ポン太先生

基本的な考え方としては、その通りです。しかし、問題は「話し合い活動」が、ワクワクしない、楽しくない、ということなのです。

ポン太先生

子ども達は、学級集会などの「実践活動」は、好きな子が多いですよね。しかし、「話し合い活動」はどうでしょうか?

新米先生

確かに…。話し合い活動は、なんとなく雰囲気が苦手…という子がいることを、聞いたことがあります。

ポン太先生

それは、「話し合い活動の構造」に問題がある場合が多いと考えています。つまり、「話し合う内容や、話し合いの仕方」に問題があるのです。

新米先生

詳しく教えてください!

ポン太先生

一緒に考えていきましょう!

楽しくない「話し合いの構造」

楽しくない「話し合いの構造」とは一体なんでしょうか。

ズバリ答えます。それは…

「2項対立的な話し合い活動」です。

つまり…

いくつかの選択肢の中から、どれかを「選ぶ」ような話し合い活動は、楽しくないのです。

なぜ楽しくないのでしょうか。

理由は簡単です。

「選ぶ」話し合いは、どうしても「対立的な構造」になるからです。

この構造だと、話し合いの場において、強者と弱者も生まれます。

強者は「数が多い方」「はっきり主張する方」「人気があるキャラクター性」などです。

強者にとっては「選ぶ話し合い」も楽しいはずです。だって勝てるのですから

しかし、

元々対立を好まない子ども達にとっては、恐ろしくて話し合いの場にすら立てません

だって、否定される可能性があるのですから。

対立構造の話し合いとは、基本的に主張のぶつかり合いです。

研究授業の時など、参観している方は楽しいかもしれませんが、話し合いの渦中にいる子どもにとっては、息の詰まる思いをしている子もいるはずです。

私たちは、そういった「弱い立場にいる子ども」にこそ、配慮をするべきではないでしょうか。

そして私は、

全ての子どもが、安心して「楽しい」と感じられる話し合いを、つくっていきたいと考えるのです。

楽しい「話し合いの構造」

では、「楽しい話し合いの構造」とは何でしょうか?

それは、

「アイディアを創り出していく話し合い活動」です。

つまり、

「つくる」話し合いです。

例えば、「もっと助け合える学級にしたい」という目的で、学級なわとび大会をすることになったとします。

「何をするか」は「なわとび大会」と決まっています。

ですから、

「どのようにするか」という、大会の約束や工夫を話し合うことにするのです。

話し合うことは、「もっと助け合えるための工夫や約束を考えよう」となります。

「もっと助け合えるための工夫や約束を考えよう」で話し合うときは、出てきた意見は基本的に「全て採用」する流れで進めます

工夫や約束ですから、いくつあっても困ることは無いはずです。

とは言っても、

ひたすら意見を出し合うのではなく、全員でより良いアイディアを練り上げ、つくっていくのです。

ですから、合意形成の場面では、「これは採用にしてもいいですか」という確認を行っていく形になります。

「つくる」話し合いの、具体的な事例を知りたい方は、

【幸せな学級づくりを目指して】【幸せな学級をつくるには、「集会活動」が効果的です】の記事も読んでみてください。

幸せな学級づくりを目指して 「幸せな学級」とは何でしょうか。 それはズバリ 「自治的な学級」です。 上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二先生の著...
幸せな学級をつくるには「集会活動」が効果的です 前回の記事で、「幸せな学級とは何か?」ということを考えました。 詳しくは前回の記事 【幸せな学級づくりを目指して】を、読ん...

しつこいようですが、

選ぶ」話し合いの場合だと、ここで「もっと助け合える学級にするために何をするか」という学級会になります

「何をするか」を話し合うのは「楽しくない」のではないか、という提案です。

話し合い活動のつくり方

議題はどうするの?

議題は、最近では「生活課題」を扱う傾向が強いです

学校・学級生活の課題を解決する場として、学級活動を行う、という流れです。

しかし、ここで気をつけなくてはいけないことがあります。

雰囲気の悪い話し合いは、それをすること自体も既に新しい問題を発生させてしまう

赤坂真二(2016)『スペシャリスト直伝!成功する自治的集団を育てる学級づくりの極意』明治図書

学級活動で「生活課題を議題にする」と言うと、子ども達にとって「ネガティブな内容」を話し合うイメージがありませんか?

議題を選ぶ際、ネガティブな内容は、基本的にあまりオススメしません

子ども達は「話し合い」や「課題解決」に、まだまだ不慣れなのです。

しっかりと訓練をしてからでないと、誰かを責めるような雰囲気になったり、不用意に誰かを傷つけたり、といったことが起こります

学級に「共感的・受容的な雰囲気」が十分に育つまでは、ポジティブな内容、楽しい内容の議題に取り組んだ方が賢明です。

子どもに「共感的・受容的な雰囲気をつくる力」を育てる方法を知りたい方は、

【学級の荒れを防ぐために必ずやること(5分でできます)】の記事も読んでみてください。

学級の荒れを防ぐために必ずやること(5分でできます) 学級が荒れる過程には、様々な要因が絡み合っている場合が多く、一概に「これをやれば絶対に大丈夫」という方法はありません。 しかし、...

また、愛媛大学大学院教育学研究科教授・白松賢先生は、著書でこのように述べています。

 ただし、「問題解決」については、注意が必要です。自治的活動を誤解すると、教師の指導を子どもに代行させるような問題が時折生じます。〜中略〜ここでは、二つの問題を指摘しましょう。一つは、特定の子どもを集団批判するような話し合い活動です。〜中略〜もう一つは、教師の感じる問題を児童生徒に押しつける話し合い活動です。

白松賢(2017)『学級経営の教科書』東洋館出版社

自分たちの「課題」が前面に出た議題だと、責任をなすりつけ合ったり、誰かを集団批判する話し合いになる可能性があります。

例えば、「掃除時間の過ごし方」を議題にした場合、「掃除をサボっているAさん」が集団批判されることにならないでしょうか?

ということです。

もう一つは、「もっと家庭学習の質を高めて欲しい」と考えているのは先生なのに、さも子どもから出てきた「課題」かのように話し合わせるのはNGだということです。

新米先生

よくわからなくなってきました。結局、子ども達の「生活課題」は議題にしてはいけない、ということですか?

ポン太先生

そうではありません。つまり、「生活課題を楽しく解決する議題」を設定すればいい、ということです。

生活課題を楽しく解決する議題とは?

子ども達と一緒に議題を決める際、「私たちの課題はなんですか」という聞き方をするのではなく、次のような聞き方をオススメします。

○ どんな学級にしたいですか?

○ 学級がもっと「どうなって欲しい」ですか?

○ 学級目標の中で「もっとがんばりたいこと」は何ですか?

こんな感じです。

つまり、

「もっとより良い学級にしていくために、子どもが取り組みたいと感じていること」を議題にしましょう

子どもはいつだってポジティブで優しいです。

きっと夢と希望のある議題を設定してくれます。

そしてそれを、楽しい活動を通して解決していきましょう。

楽しい活動とは、例えば次のような活動です。

○ 何かにチャレンジする

○ 何かをつくる

○ お祭りをする

○ なんとか週間の取り組み

○ 遊ぶ(単純ですがオススメ)

学級活動と休み時間の違いは、「目的に向かって、全員が楽しめるようなアイディアが考えられている」ということではないでしょうか。

その視点で考えると、どんな取り組みでも、学級独自の充実した活動に変えることができるはずです。

議題の集め方について詳しく知りたい方は、

【議題ってどうやって集めるの?】も読んでみてください。

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