学級活動

学級会では「事前の活動」をやらない方がいい

新米先生

学級会では「事前の活動」が大切だと言われていますよね。

事前の活動で、「学級会の8割が決まる」と聞いたことがあります。

ポン太先生

そうですね。

事前の活動をすることで、学級会の内容は深まるかもしれません。

しかし、ここに時間をかけすぎるために、「子どもの意欲が下がる」、「先生も学級会をするのが面倒になる」という問題もあります。

新米先生

たしかに…。

事前の活動をする時間はなかなか無いし、大変そうなイメージがあります…。

ポン太先生

学級会の前には、「事前の活動をしなければならない」という思い込みが、先生達の「学級会離れ」を招いている気がします。

ですから、私からは「事前の活動をやめよう」という提案をしたいと思います。

新米先生

そんな事が可能なのですか!?

ポン太先生

可能です。

一緒に考えていきましょう。

学級会で「事前の活動」をやらない方がいい理由

事前の活動をしない方がいい

以下のような理由で、先生や子どもが「学級活動離れ」になってしまうため

・事前の活動をする時間がとれない

・事前の活動のやり方がわからない

・事前の活動が大変そうなイメージがある

・子どもに「事前の活動をさせる」ために、子どもの休み時間などを奪ってしまう

ただし、勘違いをしないで欲しい事があります。

私が「事前の活動をしない方がいい」と主張するのは、

全ての学級で「週に1回の学級活動の授業を完全実施して欲しいため」です。

「事前の活動」のハードルが高いために、学級活動の実施ができないのであれば、事前の活動は無くしてしまおう、ということです。

学級活動が大好きで、ノウハウも持っているのであれば、事前の活動に取り組めばいいと思います。

しかし、働き方改革がさけばれる現在の教育界です。

先生方の「余裕」を生み出すためにも、個人的には「事前の活動はやめよう」という提案をしたいと考えているのです。

事前の活動って何?

そもそも、「事前の活動」とは何でしょうか?

今や「学級活動のバイブル」となった、「特別活動指導資料」を見てみましょう。

文部科学省(2018)「特別活動指導資料」国立教育政策研究所教育課程研究センター より抜粋

特に学級活動⑴の「事前の活動」が大変と感じている先生は多いと思います。

学級活動⑵で、アンケートを実施したい場合だけは、事前の活動がどうしても必要になります。

アンケートだけは、宿題などでやってもらってください。

事前の活動をやめた「学級会の方法」

ポン太先生

今回の記事では、先生方が特に大変だと感じる

「学級活動⑴」に特化して書きます。

普段の授業と同じように考える

他教科の授業で、子どもが「授業時間以外で授業の準備を進める」ということは、あるのでしょうか?

本当に子ども達が進んで行っている、主体的な活動であれば、問題ないと思います。

例えば、係活動などは問題ないと思います。

しかし、事前の活動は、先生の適切な指導のもとで行われる活動であり、必ずやらなければならない活動です。

子どもにとっては「司会グループにあたったら必ずやるべきこと」なのです。

たいていの子どもは、司会グループができることを喜ぶはずですので、おそらく休み時間を使っても、文句は言わないでしょう。

しかし、働き方改革もありますし、胸をはって説明する方法として…

「事前の活動」も、1時間の授業の中で、子ども達と一緒に進める

私はここ5年ほど、この方法を研究し、実施しています。

1年生、4年生、5年生、6年生の学級担任として実施してきたので、おそらくどの学年でも大丈夫です。

週に1回、確実に授業をする

この方法を可能にするためには、週に1回、確実に授業を行う必要があります。

なぜなら…

3週間かけて、1つの議題を扱うから

つまりこういうことです。

1週目【事前の活動

先生が中心となって進める

・問題の発見

・議題の決定

・めあてを決める(この議題に取り組むことで、学級の姿がどう変わり、どのような生活改善を願っているのか)

・集会の種目など、「何をするか」を決める

・来週の学級会で「話し合うこと」を決める

・決まったことを、来週まで掲示しておく

2週目【学級会】

司会グループ(子ども)が進める

・「どのようにするか」といった、工夫や約束、ルール、アイディアを創り出す話し合いをする

・実戦に向けての役割分担を決める

・計画委員会はしない(司会が苦しい時は、先生も一緒になって学級会をフォローすればいい)

・学級会前の準備時間(10分くらいはありますよね?)に、司会グループと簡単な打ち合わせをする

3週目【実践】

実行委員会(子ども)が進める

・「何のためにするのか」という、“めあて”や“提案理由”を再度確認してから、実践を始める

・活動の「振り返り」の時間は必ずとる(アンケートでもOK)

このような感じで、3週間かけて1つの議題を扱います。

「事前の活動の準備ができていないから、今週の学活は来週に延期しよう〜っと…えへへ」という経験はありませんか?

私は何度もあります。

それなら、いっそのこと

「事前の活動」の時間を、授業で1時間とってしまった方が効率的ではないでしょうか。

そのままズルズルと、引き伸ばしてしまう可能性だってあります。

先生は本当に忙しいですから…。

1時間で終えると考えない

学級会は1時間で終えるもの、というイメージがあります。

確かにその通りです。

週に1時間しかない、貴重な時間ですから…。

しかし、そういった既成概念が、先生方の「学級活動離れ」を生んでいるのではないかと考えるのです。(しつこいようですが…)

学級会や学級活動が「難しい」「面倒な」「ハードルの高い」教育活動になってしまっている、現状があると思うのです。

学級会が1時間で終わらなくてもいい!

終わらなければ、来週もう1回やる!

これくらいの気持ちでいいと思います。

でも、子ども達は早く実践がしたいので、おそらく「来週もう1回話し合う」ような学級会にはしないはずです。

子ども達は、一生懸命に、時間内で決めようとしてくれます。

私の実践でも、同じ内容を2回話し合うのは、年に1度くらいです。

「クラスの合言葉をつくろう」とか「(かなり盛大な)集会活動をしよう」といった議題は、2回になる場合がありました。

他にも具体的な議題の流れが知りたい方は

【幸せな学級づくりを目指して】の記事も読んでみてください。

幸せな学級づくりを目指して 「幸せな学級」とは何でしょうか。 それはズバリ 「自治的な学級」です。 上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二先生の著...

「話し合い→実践」という概念を捨てる

学級活動では、実践をやる前にじっくりと話し合い、全員でアイディアを出し合うことで、充実した実践ができる…と考えられています。(多分)

つまり、実践の前には必ず学級会があるわけです。

そうではなく

「実践→話し合い→再実践」という流れも、あると考える

集会などをする際は、集会の種目を「学級活動で一度やってみる」ということから、始めてみてもいいと思います。

特に、

子どもによって「経験値の差が大きい」ような種目は、ためしに一度やってみることをオススメします。

「お祭り集会」や「出し物大会」などは、個々の経験値にかなりの差があります。

子どもにとって馴染みのある、ドッジボールや鬼ごっこでさえ、全員でやってみると様々な課題が見えてきます。

簡単な例であれば、

「全員でやると退屈な人が出てくる」

「ボールを怖がる人もいる」

「特定の人だけが楽しんでいる」

「ムキになって楽しめない場面がある」

「普通のルールだと楽しめない人がいる」

などなど…

学級の実態によって、課題は様々です。

課題が見えることで、子ども達は「話し合って解決したい」という思いが強くなります。

そうすることで、「解決したいこと」が焦点化された、誰もが参加しやすい学級会にも、つながると思います。