はじめに
このブログでは何度もお伝えしていますが、私は今年度、先生になって18年目にして初めて、1年生の先生をすることになりました。
これまでに担任をしたのは高学年ばかり…。
「いつかは1年生の先生になりたい」とずっと思っていましたので、ようやく希望が叶い、希望にあふれた新学期でした。
しかし、1年生の先生はそんなに甘くはありませんでした。
学期当初はかなり苦しみましたが、そのことについては別な記事に書いてあります
高学年の先生とは違った、新たなスキルを身につける必要がありました。
どのようなスキルが必要だったのか?
こんな風に書きましたが…
実はスキルと呼べるほどのものではなく、「当たり前じゃん」と感じるものばかりかもしれません。
でも私にとっては大切な“意識改革”であり、それらは自分の弱点だったのです…(お恥ずかしいですが)。
思いつく限り書きますが、以下のようなことを学びました。
子どもの動きを予測して予防する
例えば、授業中に教室移動が必要な時や、何か活動を指示する際、「子どもがどのような動きをするか」ということを考えます。
そして
「これから図書館に行くけれど、どうやって移動するかな?図書館についたらまず?そうだね、まずは本のバーコードをピッとして返すんだったね。よく覚えているね、さすが!」みたいな感じです。
こうすることで、子どもに注意をしたり、私自身の余裕がなくなったりすることを防げます。
また、ペア活動の前に
「まずはお隣の人としっかり話をしてね。お話を聞くときは別なことをしながら聞いてもいい?違うよね、ちゃんと相手の目を見て、うなずいたり、うんうん、って言ったりしながら聞いてあげてね」みたいなことも言います。
そうすることで、不用意にお友達を傷つけることを防げます。
具体的でわかりやすい指示・説明
1年生の先生になって初めてわかったことがあります。
それは
「発表するときはなぜ、黙って手を挙げなくてはいけないのか」ということです。
私はずっと高学年の先生をしていましたので、「ハイハイハイ!」と騒がしいほどに声を出す子達を見たことがありませんでした。
高学年は周囲の空気を読んで、なんとなく順番を守るような感じで発表ができます。
「○○さんはまだ意見を言っていないから、先に言ってもらおう」みたいなことまで出来ます。
しかし1年生はやる気150%で、先生と自分の関係性に大きな関心があります。
だから聞いて欲しくて、大声で自己主張をするのです。
これには驚きました。
そして、
教室が騒がしくなり、マナーを守って静かにしている子が発表できない…という事態になってしまいました。
この状況には、
「発表は静かに待っている人からあてるね」という約束をすることで対処できました。
自分勝手ではなく、静かに待つ…というマナーも、こうして身につけていくのだということに気づきました。
活動後に
自分の席に戻る場合も「10秒で席に戻ってね」という方が、より具体的で1年生はサッと動いてくれます。
学習で使う道具を準備したり、しまったりする場合も同様に「10秒で片付けよう。よーい、スタート!」という方がわかりやすいようです。
先生が話しているときに重ねて話してくる場合には、
「あ、今、交通事故になったよ…。声がぶつかって、先生の心が痛い…」と言いながら胸を押さえると、「話を最後まで聞いてあげないと、心が痛いんだな」ということをわかってくれます。
こうしたスキルは全て、他の先生を見て学んだことです。
低学年の先生って、本当に丁寧で、子どもの心に響く言葉を持っているのだな…と、実感しました。自分の未熟さに恥ずかしくなります。
守ってほしい約束は、はじめに伝えておく
高学年の先生をしていたとき、私は学期当初に「ルールや約束」をほとんど決めませんでした。
生活をしていきながら、その学級に必要となったルールを子どもと一緒に考えていく…というスタイルだったからです。
もちろん、人権に関わること(いじめ、自他の心や体を傷つけること等)だけは、厳しく対処することを伝えていました。
しかし1年生は、学校での基本的な過ごし方も、約束事も、何も知らないのです。
知らずに注意されることがあっては、1年生も納得がいきません。
ですから高学年とは違って、
先生が守ってほしいと考えている約束は、事前にきちんと伝えておく必要があります。
空気を読んで行動することは難しいのです。
例えば「チャイムが鳴ったら授業が始まること」「授業は全員で参加するものであること」「遊んでいい場所とそうでない場所」「各教室を訪れる時のマナーや時間帯」「様々な道具の使い方や片付け方」などです。
これらは先生になって初めの頃に学ぶスキルですし、どちらかというと「当たり前のこと」です。
ですが、
私はこれらのスキルを理解しているようで、その大切さを本当の意味ではわかっていなかったな、と感じました。
基本に立ち返ることの大切さを学んだような気もします。
おわりに
1年生は基本的にみんな一生懸命で、自分をよりよくしたいと思っています(きっと)。
ですから、子どもに悪気はありませんし、何か失敗があったのだとしたら、それはおそらく私のせいです。
子ども達が余計なこと(段取りの悪い活動や注意の時間など)に時間をとられることなく、全力で学びに向かうために、先生にはこうした基本的なスキルが必要なのだと感じました。
1年生は学ぶことが大好きで、たくさん勉強したいのです。
そのことを、1学期に実感することができました。
子ども達の楽しい時間、充実した時間を増やせるように、2学期もがんばっていきたいと思います。