前回の記事で、「幸せな学級とは何か?」ということを考えました。
詳しくは前回の記事
【幸せな学級づくりを目指して】を、読んでみてください。
幸せな学級をつくるには「集会活動」が効果的なのは、なぜ?
ざっくりと確認すると、「幸せな学級」=「自治的な学級」です。
つまり、
子どもが「自分の力で、自分の目指す学級をつくっていく」ような学級だと、子どもの幸福感は高いということです。
そうは言っても、学級には複雑で様々な課題があり、それを子ども達の力だけで解決していくことは難しいです。
そこで、学級活動の時間を使って、先生の適切な指導のもと、「子どもが目指す学級の姿」に近づけるような取り組みをしていきます。
私が提案したいことは…
学級生活の課題は、「集会活動」を通して、「楽しく解決」していこうよ!
…ということです。
集会活動は子どもにとって、「楽しい活動」であり、「楽しみたい活動」です。
つまり、
子どもが「本気になって取り組む学習」なのです。
子どもが本気になって取り組んだ学習、ワクワク感を伴って取り組んだ学習は、子どもの確かな学力として身につきます。
例えば、子ども達が、「一人一人を大切にする学級にしたい」ということを願っている場合、そのまま「一人一人を大切にするような集会(遊び)を計画して、実践しようよ」という集会活動に取り組むわけです。
たったこれだけの実践で、学級内の多くの課題解決につながることは、想像できるでしょうか?
○ 相手の意見を否定しない
○ 相手の気持ち(話)を最後まで聞く
○ 相手の気持ちも理解しようとする
○ 自分の気持ちばかりを優先しない
○ 全員が納得するような答えを考える
パッと考えただけでも、これくらいは思いつきます。
「一人一人を大切にする学級を目指した、集会活動に取り組む」だけで、
実はその裏で、最低でもこれくらいのことを子ども達は学ぶのです。
学ばざるを得ないといってもいいかもしれません。
なぜなら…
「一人一人を大切にするような集会活動(遊び)の工夫を考えること」は、かなり難しいことであり、高度な課題解決学習であるから、です。
学級活動は、かなり高度な課題解決学習なので、子ども達の学びも大きいのです。
しかも、「子ども達から発信された」、「子ども達のやりたいこと」を扱っているので、自治的な取り組みになります。
つまり、
幸福感の高い取り組みなのです。
集会活動には年間を通して取り組む
私が取り組んだ1年間の学級活動
こんな感じの議題に取り組みました。
学級活動では、まず初めに「クラスの合言葉」を決める必要があります。
「合言葉」とは、学級によって「クラス目標」「学級目標」と言われている言葉のことです。
「子どもが目指すクラスの姿」を言葉にしたものですね。
私のクラスでは、以下の5つが「合言葉」として決まりました。
学級活動には「年間を見通した流れ」がある
学級活動は、何でもかんでも子どもに聞いて、単発で進めていい活動ではありません。
そうなると、せっかくの効果が薄くなります。
きちんと、
先生の意図性を持って取り組みましょう。
合言葉などに向かって、楽しい活動をたくさん計画しよう
1学期はとにかく、「みんなでやるって楽しい」と思えるような活動に、たくさん取り組みましょう。
合言葉に向かっているのかを振り返り、見直しをしよう
2学期は、一度立ち止まって、本当に自分たちが目指す方向に向かっているのかを、確認したほうがいいです。
私は、集会活動を終えるたびに、子ども達へ「合言葉の5つの言葉の達成度を、5段階で評価するアンケート」をとっていました。
これは学級の平均値です。
こうしたアンケート結果も、先生の意図性を持って取り扱いましょう。
私は9月まで、このアンケートの結果を子ども達に見せませんでした。
つまり、9月に行った「実習の先生方とのお別れ会」が終わってから、この結果を子どもに公表しました。
毎回アンケート結果を見せていると、どうしてもアンケートの事ばかりを考える子どもも出てきます。
あくまで、自然な姿で、集会活動をさせることを意識しましょう。
こうして
可視化することで、子ども達は1学期から今日までの成長を、心から実感することができます。
また、
「見通しを持った行動にはまだ課題があるね」「一人一人を大切にすることや、思いやりは、今でも悪くないけれど、もっと上を目指したいね」といったことを、自発的に発言してくれます。
1年間の活動を振り返り、自分たちの良さや成長を発信しよう
3学期は、1年間の集大成となる、大きな集会活動を計画しましょう。保護者や地域、他学年への発信・表現活動ができると、なおいいですね。
大まかにですが、「年間を通した学級活動の流れ」の例です。
先生がこうした見通しを持っておくと、場当たり的な実践にはなりません。
また、
一つ一つの実践がつながりのあるものになり、より大きな効果が期待できます。
各学期で中心となった集会活動の紹介
「問い」と「答え」という形で書かせてもらいます。
「問い」とは、子ども達が課題解決したい事柄であり、「こんな学級にしたいと願う姿」です。
「答え」とは、課題解決に向けて「子ども達が創り出したアイディア」です。
【問い】
一人一人を大切にするには、どうすればいいのか
【答え】
全員の願いや思いが叶う、遊びのルールを生み出すこと
【問い】
みんなで団結するには、どうすればいいのか
【答え】
全員参加型で、ちょうどいい位の難易度に設定した、オリジナルゲームに挑戦すること
【問い】
まとまりがあり、一人一人が活躍するためには、どうすればいいのか
【答え】
それぞれの「得意」を生かした出し物を披露できる集会をする。
それぞれの出し物には、学級で共通のテーマを設けたり、座席の工夫をしたりすることで、一体感を出す。
どの問いも、簡単には解決できないものばかりです。
ひとつの正解なんて、どこにもありません。
難しい問い、正解を自分たちで創っていけるような問いこそ、子どもは燃えます。
おまけ
誕生日集会は毎月やったほうがいい
誕生日集会って何ですか?
その名の通り、その月の、誕生日の子どもをお祝いする集会です。
学級の仲間が「今ここにいること」は奇跡です。
命が生まれた日を、みんなでお祝いしましょう。
誕生日集会は、
基本的に学級会などの時間はとりません。
係活動の時間で準備をするか、朝の会などで役割分担だけを決めて、あとは当日までに自分達で準備をしてもらいます。
1年生の場合は、1回目の誕生日集会だけは学級会をしましたが、あとは役割分担だけを確認して、自分たちで準備をしてもらっています。
ただし、
低学年や中学年は、準備の時間として1時間だけ、授業でとってあげた方が充実した集会になります。
高学年は、時間をとらなくても自分たちで準備を進められます。
そして、
誕生日集会の実行委員は、輪番制で行いましょう。
司会グループや学習グループで輪番にして、1年間で全員が実行委員を経験できるようにする、ということです。
集会などを企画する大変さを全員が経験すれば、子どもは「協力すること」の大切さを学びます。
また、
遊びの種目は、誕生日の子に決めてもらえばいいと思います。
1年間で確実に1回は、自分のやりたいことが確実にできるので、オススメです。
【誕生日集会の準備について】
○ 誕生日集会は毎月行う
○ 役割分担は決めるが、話し合いの時間は設けない
○ 中学年までは「準備の時間」を1時間設ける
○実行委員は輪番制で、年間を通して全員が経験できるようにする
○ 遊びの種目は、誕生日の子どもに決めてもらう