日々の実践

初任の頃に大切な10のこと

初任の頃に大切なこと

この話題は、後輩教諭からの質問があったので、記事にしようと思いました。

新米先生

私のように、先生を始めたばかりの人にとって、大切なことって何でしょうか?

ポン太先生

私も、初任の頃は、先輩からたくさんのことを教えていただきました。

先輩から教えていただいたことで、「よかったな」と思うことを、お話ししましょうか?

新米先生

ぜひ聞きたいです!

ポン太先生

ただし、これはあくまでも私の例なので、「必ずこうしなければならない」と思わないでくださいね。

アドバイスは「どの先輩に言われたのか」とか「どの時期に言われたのか」ということも重要です。

字面だけだと、役に立たない場合がほとんどです。

しっくりきたものだけを、心に残してください。

先輩方から聞いた言葉で、私が大切にしている言葉を紹介します。

しかしこれは、私にとって…

「初任の頃の心構え」ではなく、

「今(教職18年目)でも大切にしている心構え」です。

誰かのお役に立てれば、うれしいです。

教育は待った無し

大学を卒業した4月、3年生の担任をすることに決まりました。

学校が始まって1週間ほどしたある日、先輩とこんな話をしました。

先輩「仕事はどう?」

「まだ慣れていませんが、少しずつ慣れていきたいです」

先輩「お前が慣れている間、子どもはどうする?」

先輩「お前が慣れるまで、ずっと待っていないといけないのか?」

「…。」

先輩「教育は待った無しなんだ。子どもの前に立ったら、自分は先生なんだと覚悟を決めろよ」

先輩「お前が“先生”になるまで子どもは待たない。たとえ力不足でも、今持っている自分の力で、目の前の子ども達に全力で向き合うんだよ」

先輩「子どもにとっては、1年目も10年目も関係ない。子どもの前に立つからには、みんな同じ先生なんだ」

「…はい。」

目が覚めたような気持ちになったのを覚えています。

私は、仕事をしながらも「初めての教職なんだから、大目に見てもらえるだろう」という気持ちが、どこかにあったのだと思います。

それを見透かして、先輩は釘をさしてくれたのだと感じました。

その後、私が心に決めていることは…

「わからない」「できない」という言い訳はしない。

自分にできることを精一杯やる。

自分が今持っている能力の全てを、目の前の子どものために「どのように使えるか」を考える。

先輩と話した日が、本当の意味で「先生になった日」だったことを記憶しています。

給料の5%は本を買え

これは、初任の頃に先輩に言われて、今でも実行しています。

私が初任の頃は、インターネットというよりは、まだ本の時代でした。

先輩は…

「毎月、給料の5%くらいは本を買って、新しい教育技術や、考え方を身につけたほうがいいよ」

と教えてくれました。

今となっては、この読書習慣に助けられています。

もちろん、買う本は教育書だけではなく、小説やビジネス書なども書いますが…。

初任の頃は授業のやり方が全然わからず、45分を無事に乗り切る事さえ出来ませんでした。

だからこそ、本に頼りました。

本に書いていあることを、ひたすらマネしました。

週末は、朝から昼まで本屋で立ち読みして、昼食を食べて…

(昼食はだいたい、本屋の隣のマック)

食べ終わったら、また本屋に行って夕方まで立ち読みして…

厳選した何冊かを購入して帰宅、という1年を過ごしました。

あの頃のことは、よく覚えています。

最初の10年間は、とにかくハウツー本を中心に読んでいました。

それからあとは、いわゆる「教育書」を手にとるようになりました。

教育書を読む頃には、ハウツーは自分で考えることができるようになっていました。

それもこれも、たくさんの本で基礎固めをしたからだと思います。

いきなり「自己流」で始めていたら、きっと満足のいく「自己流」さえ手に入らなかったと思います。

教育には先達の実践が数多くあります。

それらを理解せず、闇雲に自己流を磨くなんて、コスパが悪い上に、独りよがりで不安定だなぁと、個人的には思います。

YESと言ってから考えろ

何か仕事をお願いされた時は…

「まずはYESと答える。出来るかどうかは、あとから考えればいい」

と、教えていただきました。

(パワハラとか言われそう笑)

先生をしていると、色々な仕事が舞い込んできますよね。

・研究授業の授業者をしてもらえますか?

・○○大会で実践発表してもらえますか?

・校内研主任をしてもらえますか?

・研究会の事務局長をしてもらえますか?

・プロジェクトを立ち上げてもらえますか?

・○○の研究員をやってもらえますか?

・○○研修で出張に行ってもらえますか?

などなど…

これらは全て、実際に私が言われたことのある言葉ですが、私は18年間一度も「NO」と言ったことはありません。

後悔もしていません。

それどころか、感謝しています。

先輩方からいただいた、たくさんの仕事が、私を大きく成長させてくれました。

やったことのない仕事は、いつでも私の視野を大きく広げてくれました。

「無理でしょ」と感じる仕事量をこなした時期があることも、自分の自信になっています。

でも、これからは、少しくらい「NO」と言おうと思っています(笑)

もう中堅の年だし、体調を崩すのもイヤなので。

元気が150%くらい必要

「初任の頃は、150%くらいの元気がないと、これから何十年も先生はできないよ」

先輩が言っていた言葉です。

これは、私が言われた言葉ではなく、私が10年目くらいの頃に、先輩が初任の方々(30名くらい)へ、言っていた言葉です。

どういうことかと言うと…

初任者研修の授業研究会で、初任者の皆さんのモチベーションが、低い感じだったのです。

進んで発言する方が少なく、シーン…みたいな雰囲気でした。

先輩の伝えたかったことは、こんな感じだと思います。

初任の時点で、積極的に発言をしない、学ぶ意欲が感じられないようでは、今後も厳しいよ。

だって、歳を重ねたら元気も減っていくんだから。

100%の元気では、足りないよ。

私は、初任だからといって、いわゆる「元気な若者」である必要はないと考えています。

でも、勇気を出して研究授業の感想を述べたり、質問をしたりする姿勢は大切だと思っています。

それは、授業をしてくれた人への敬意と感謝を示すことになるからです。

そこに、自分の元気を使いたいなぁとは、思うのです。

ここに来なかったら、一生知らないままだったよ

先生になってすぐの頃、ある先輩が、

「ポン太、県外の○○小学校の研究発表を見に行かないか?」

と、声をかけてくれました。

その頃の私は、わざわざ県外まで研修に行くなんていう考えは、全くありませんでした。

しかも、飛行機代や宿泊費で5万円ほどかかります。

もちろん、全て自費です。

ですが、特に迷うこともなく、先輩と一緒に県外の研究発表会に参加しました。

はっきり言って…感動でした。

様々な教育観、教育方法があることを、目の当たりにしました。

それから私は、年に3回くらいは、県外研修に出かけるようになりました。

先輩は言いました。

「ここに来なかったら、一生知らないままだったよ」

「そう考えたら、5万は安いよな」

日本中に、素晴らしい実践をしている先生がいます。

想像ができないほど、素晴らしい学級が存在します。

自分が知らない、素晴らしい教育観を語ってくれる学者がいます。

それを一生知らないままで過ごすなんて、肌で感じることのできるチャンスを逃すなんて…もったいないと考えるようになりました。

必ず発言するんだよ

県外研修の話の続きになりますが…

研修や授業研究会の場では必ず、「質疑応答」や「研究協議」の時間がありますよね。

そういった場では、

「必ず手をあげて、何か発言するんだよ」

と教えてもらいました。

主体的に参加することで、自分自身の学びは一層深まります。

それに、「必ず発言するぞ」と決めてから研修に参加すると、本気度が全然違います。

当然、人一倍学びは充実します。

これは、子どもの前でも同じです。

初任の頃の私は、学年集会や行事指導の時など、先輩が子どもに話すのをただ黙って見ていました。

そんな時も、その先輩に

「毎回一言くらいは、何かしゃべったほうがいいよ」

と言われました。

子どもの前に立つ時も、「何かを伝えるのだ」という責任感や緊張感が、質の高い関わりを生み出すのだと思います。

方法とは意識である

「みんな、方法論ばかり追いかけるやろ。でもな、方法とは意識やねん。だから、先生は意識の部分を鍛えな、結局方法もうまくいかんねん」

そんなことを、関西出身の先輩が語ってくれました。

その先輩も、何かの本で読んだ…と、話していたと思います。

つまり、私たちが子どもに何かしら働きかける時(方法)、どのような働きかけをするかを決定づけるのは、その先生の教育観や理念(意識)である、ということです。

先生は、1日に何100回も、子どもに何らかの方法で働きかけます。

その方法のほとんどは、

先生が瞬間的に判断して、どう働きかけるかを決めているはずです。

つまり、働きかけは、その先生の教育観に左右されているのです。

だからこそ、先生は

「意識(教育観や理念)を鍛える必要がある」

ということなのです。

「子どもが考えることを促す先生」

「子どもが考えるよりも自分が指示する先生」

などの違いは、わかりやすいのではないでしょうか。

あえて例は示しませんが…。

対話の力

私の好きな先輩が、

「対話の力ってすごいな」

と、よくおっしゃいます。

教材研究や生徒指導、仕事や人生の課題に行き詰まった時、皆さんはどういう風に解決しているのでしょうか。

私はとにかく、

「信頼できる先輩や友人に意見を求める」ことにしています。

「信頼できる」というのは、遠慮せずに厳しい意見でも言ってくれる人のことです。

「ありきたりで、普通だな」と感じるかもしれません。

しかし、意外とやっていない方もいるのではないでしょうか。

私は授業や指導に困った時、同僚というよりは、

きちんと議論をしてくれる先輩や友人に連絡をして、喫茶店などで夕食をとりながら、「対話」をします。

すると、自分では考えもしなかった視点や突破口が、必ず見えます。

すごく価値のある時間です。

相手の時間を奪わない

これはマナーの話題になります。

先輩や管理職に何かを質問する時…

いきなり相手のところへ行って、

「すみません、○○について聞きたいのですが、よろしいでしょうか?」

という聞き方をしていませんか?

以前の私はやっていました…。

先輩には、こう教えてもらいました。

「質問がある時は、“相談したいことがあるのですが、いつでしたらお時間いただけますか?”と聞くんだよ」

「みんな忙しいから、自分の都合で仕事を中断させるのはよく無い。いつだったら時間をとれるのか、相手に聞くんだよ」

このマナーは、今でもとても役に立っています。

大抵の場合は、「別に、今でいいよ」と言われるのですが、時々、

「10分後でもいい?」

「お昼休みがいいな」

と返されることもあります。

こんな時、突然質問しないでよかったなぁと思います(^_^;)

まずはやってみる

先輩や同僚から

「こんな指導方法があるよ」

「こんな授業の方法はどうかな」

ともちかけられた時、皆さんはどうしますか?

「自分はいいと思わないから、やらない」

という選択も、もちろん有りです。

ですが私は、先生になって10年くらいは、

「まずは色々な方法をやってみる」ことも大切だと思っています。

なぜかというと、やってみない事には、その教育方法のメリットもデメリットも実感できないからです。

先輩方が勧めるからには、必ず理由があります。

私はそれらを、自分の心と体で、しっかりと納得したいなぁと思います。

だから、私には、もう捨ててしまった教育方法もたくさんあります。

それらは、自分で試してみたからこそ、自信を持って捨てることができました。

逆に、やってみると意外と新たな発見や気づきがある場合も、ありました。

様々な教育方法を、捨てるにしろ、取り入れるにしろ、できるだけ身軽な若手時代に、肌でしっかりと感じてみるのもいいかな、と思います。

この記事では、働き方改革の進んだ現代においては、時代錯誤な考え方もあったかと思います。

あくまでも参考に…という気持ちで、読んでいただければ幸いです。