新たな価値を創り出す道徳授業とは?
「新たな価値を創り出す」って何ですか?
「新たな価値を創り出す」というのは、道徳の授業において、「新しくわかったことがある」という感じで捉えてください。
道徳の授業では、毎時間、新しく何かをわからないといけないのですか?
そうだと思います。
もう少し言うならば、子どもにとって「すでにわかっていること」が「さらによくわかった」と感じる授業にしたいのです。
確かに!
道徳の授業って、子どもが「すでに知っている事を確認しただけ、説明しただけ」という感じの授業になる場合が多いです。
道徳の授業は難しいですからね…。
すでに知っている事を説明するだけの授業は、子どもにとっては退屈です。
私もそういう授業をたくさんしています…(~_~;)
そこで
「すでにわかっていた(と思っていた)事が、さらによくわかるようになった」
授業の事例を紹介します。
そこから、道徳授業のつくり方を一緒に考えていきましょう。
断っておきますが…
私も道徳の授業づくりが1番難しいと感じており、毎週の授業はヒヤヒヤしています(−_−;)
ですから、少しでも先生方の授業づくりのヒントになればいいなぁという思いで、この記事を書いています。
1年生「きんのおの」の授業
導入で何をたずねるのか
導入では、本時で取り扱う「価値項目に関連しそうな事」をたずねています。
事前にたずねておくことで、授業を展開しながら…
「あれ?さっきはこう言っていたよね?」
「さっきはこう言っていたから、この場合でもそうだよね?」
と、「ツッコミ」をいれることができます。
今回の授業は「正直」に関する授業でしたので、率直に「正直って何?」と聞いてもよかったのですが…
資料に「うそつきな木こり」が出てくるので、「うそをつくと…」に続く言葉をたずねてみました。
ちなみに、この導入の方法は、筑波大学附属小学校の加藤宣行先生の実践を参考にしています。
加藤宣行(2018)「加藤宣行の道徳授業 考え、議論する道徳に変える発問&板書の鉄則45」明治図書出版
加藤宣行(2018)「加藤宣行の道徳授業 実況中継」東洋館出版社
大切なのは「発問」の準備
道徳の授業では、とにかく「発問」を大量に準備しておいた方がいいと感じます。
もちろん、それを全部授業で使うわけではありません。
使う発問は多くても3つ位です。
つまり、
ということです。
道徳の授業は本当に難しく、子どもが「考えたくなる」ような発問ができる先生は、そんなにいないはずです。
だからまずは、「数打ちゃ当たる」作戦なのです。
たくさんの発問の中から、「子どもが考えたくなる発問」を選びましょう。
「当たり前」を崩すような発問を
私の学校には「教科部」があり、それぞれの教科に専門の先生がいます。
そこで、道徳部の先生に教えていただきました。
(T先生、いつも本当にありがとう)
その先生がおっしゃっていた事を紹介します。
正直を扱う授業で、その大切さを伝えても学びはありません。なぜなら「知っている」からです。
そうではなく、「正直な心とは何か」という事を考えます。
そして、「やってみたい」と、子どもの内面的動機づけができる事を目指します。
そのあと、たくさんの「発問集」も提供してもらいました。
なんと素晴らしい先生なのでしょうか。
その中で、私のクラスの1年生に、火をつけた発問があります。
1年生なので、実際にはこう発問しました。
隣の木こり(嘘つき)は、金のオノが欲しいから、正直に「ください」と言ったんだよね?
じゃあ、隣の木こりも正直じゃないの?
正直だけど、隣の木こりは「ふざけている」からダメだよ
正直だけど、「ぎょうぎが悪い」よ
隣の木こりは、「自分のことしか考えていない」よ
子どもが創り出した新たな価値
板書を再度出します。
子どもたちは、「正直」という言葉も、その意味も、なんとなく知っています。
しかし、「正直な心って何?」という事を、本当の意味では知りません。
以下は、この授業で子どもが創り出した、新たな価値です。
初めの木こり(正直)と、隣の木こり(嘘つき)は、
「気持ち」が違う!
「ぎょうぎが悪い」のは、ダメな正直
「真剣な気持ち」が、本当の正直
つまり、
「何が正直な心なのか」ということについて、
「さらによくわかった」ということです。
子ども達が、自分の言葉で説明してくれました。
子どもって、本当にすごいですよね。
私たち大人は、こういう風に言葉で説明ができるでしょうか(笑)
道徳授業について、興味があれば「1年生ってすごい〜平和について考えた〜」もお読みください。