子どもがワクワクしたり、「楽しい」と感じる活動とは、どのようなものでしょうか。
それは、
子どもが「自分で必要だと感じ、何をするかを自分で考えて、自分で行動できる活動」です。
つまり、
自治的な活動ですね。
また、子どもが心からワクワクする、楽しい活動というのは、大騒ぎしたり、無秩序な活動でもありません。
そんな活動が楽しそうだと感じるのは、一時だけです。
「多くの人が幸せになる活動」こそが、真に楽しい、充実感のある活動であることを、子ども達は知っています。
「自分もみんなも幸せになれる、自治的な活動」が、ワクワクする楽しい活動です
つまり、そんな活動(実践)をつくるような、話し合い活動を展開すればいい、ということです。

ワクワクする楽しい話し合い活動とは?
なるほど!とにかく、みんなが幸せになるような活動を、子ども自身に考えさせて、取り組んでいけばいいのですね!
基本的な考え方としては、その通りです。しかし、問題は「話し合い活動」が、ワクワクしない、楽しくない、ということなのです。
子ども達は、学級集会などの「実践活動」は、好きな子が多いですよね。しかし、「話し合い活動」はどうでしょうか?
確かに…。話し合い活動は、なんとなく雰囲気が苦手…という子がいることを、聞いたことがあります。
それは、「話し合い活動の構造」に問題がある場合が多いと考えています。つまり、「話し合う内容や、話し合いの仕方」に問題があるのです。
詳しく教えてください!
一緒に考えていきましょう!
楽しくない「話し合いの構造」
楽しくない「話し合いの構造」とは一体なんでしょうか。
ズバリ答えます。それは…
「2項対立的な話し合い活動」です。
つまり…
なぜ楽しくないのでしょうか。
理由は簡単です。
「選ぶ」話し合いは、どうしても「対立的な構造」になるからです。
この構造だと、話し合いの場において、強者と弱者も生まれます。
強者は「数が多い方」「はっきり主張する方」「人気があるキャラクター性」などです。
強者にとっては「選ぶ話し合い」も楽しいはずです。だって勝てるのですから。
しかし、
元々対立を好まない子ども達にとっては、恐ろしくて話し合いの場にすら立てません。
だって、否定される可能性があるのですから。
対立構造の話し合いとは、基本的に主張のぶつかり合いです。
研究授業の時など、参観している方は楽しいかもしれませんが、話し合いの渦中にいる子どもにとっては、息の詰まる思いをしている子もいるはずです。
私たちは、そういった「弱い立場にいる子ども」にこそ、配慮をするべきではないでしょうか。
そして私は、
全ての子どもが、安心して「楽しい」と感じられる話し合いを、つくっていきたいと考えるのです。
楽しい「話し合いの構造」
では、「楽しい話し合いの構造」とは何でしょうか?
それは、
「アイディアを創り出していく話し合い活動」です。
つまり、
「つくる」話し合いです。
例えば、「もっと助け合える学級にしたい」という目的で、学級なわとび大会をすることになったとします。
「何をするか」は「なわとび大会」と決まっています。
ですから、
「どのようにするか」という、大会の約束や工夫を話し合うことにするのです。
「もっと助け合えるための工夫や約束を考えよう」で話し合うときは、出てきた意見は基本的に「全て採用」する流れで進めます。
工夫や約束ですから、いくつあっても困ることは無いはずです。
とは言っても、
ひたすら意見を出し合うのではなく、全員でより良いアイディアを練り上げ、つくっていくのです。
ですから、合意形成の場面では、「これは採用にしてもいいですか」という確認を行っていく形になります。
「つくる」話し合いの、具体的な事例を知りたい方は、
【幸せな学級づくりを目指して】や【幸せな学級をつくるには、「集会活動」が効果的です】の記事も読んでみてください。


しつこいようですが、
「選ぶ」話し合いの場合だと、ここで「もっと助け合える学級にするために何をするか」という学級会になります。
「何をするか」を話し合うのは「楽しくない」のではないか、という提案です。
話し合い活動のつくり方
議題はどうするの?
議題は、最近では「生活課題」を扱う傾向が強いです。
学校・学級生活の課題を解決する場として、学級活動を行う、という流れです。
しかし、ここで気をつけなくてはいけないことがあります。
雰囲気の悪い話し合いは、それをすること自体も既に新しい問題を発生させてしまう
赤坂真二(2016)『スペシャリスト直伝!成功する自治的集団を育てる学級づくりの極意』明治図書
学級活動で「生活課題を議題にする」と言うと、子ども達にとって「ネガティブな内容」を話し合うイメージがありませんか?
議題を選ぶ際、ネガティブな内容は、基本的にあまりオススメしません。
子ども達は「話し合い」や「課題解決」に、まだまだ不慣れなのです。
しっかりと訓練をしてからでないと、誰かを責めるような雰囲気になったり、不用意に誰かを傷つけたり、といったことが起こります。
子どもに「共感的・受容的な雰囲気をつくる力」を育てる方法を知りたい方は、
【学級の荒れを防ぐために必ずやること(5分でできます)】の記事も読んでみてください。

また、愛媛大学大学院教育学研究科教授・白松賢先生は、著書でこのように述べています。
ただし、「問題解決」については、注意が必要です。自治的活動を誤解すると、教師の指導を子どもに代行させるような問題が時折生じます。〜中略〜ここでは、二つの問題を指摘しましょう。一つは、特定の子どもを集団批判するような話し合い活動です。〜中略〜もう一つは、教師の感じる問題を児童生徒に押しつける話し合い活動です。
白松賢(2017)『学級経営の教科書』東洋館出版社
自分たちの「課題」が前面に出た議題だと、責任をなすりつけ合ったり、誰かを集団批判する話し合いになる可能性があります。
例えば、「掃除時間の過ごし方」を議題にした場合、「掃除をサボっているAさん」が集団批判されることにならないでしょうか?
ということです。
もう一つは、「もっと家庭学習の質を高めて欲しい」と考えているのは先生なのに、さも子どもから出てきた「課題」かのように話し合わせるのはNGだということです。
よくわからなくなってきました。結局、子ども達の「生活課題」は議題にしてはいけない、ということですか?
そうではありません。つまり、「生活課題を楽しく解決する議題」を設定すればいい、ということです。
生活課題を楽しく解決する議題とは?
子ども達と一緒に議題を決める際、「私たちの課題はなんですか」という聞き方をするのではなく、次のような聞き方をオススメします。
○ どんな学級にしたいですか?
○ 学級がもっと「どうなって欲しい」ですか?
○ 学級目標の中で「もっとがんばりたいこと」は何ですか?
こんな感じです。
つまり、
「もっとより良い学級にしていくために、子どもが取り組みたいと感じていること」を議題にしましょう。
子どもはいつだってポジティブで優しいです。
きっと夢と希望のある議題を設定してくれます。
そしてそれを、楽しい活動を通して解決していきましょう。
楽しい活動とは、例えば次のような活動です。
学級活動と休み時間の違いは、「目的に向かって、全員が楽しめるようなアイディアが考えられている」ということではないでしょうか。
その視点で考えると、どんな取り組みでも、学級独自の充実した活動に変えることができるはずです。
議題の集め方について詳しく知りたい方は、
【議題ってどうやって集めるの?】も読んでみてください。
