はじめに
私は今年度、初めて1年生を担任することになりました。
先生になって18年。
これまでは高学年の担任ばかりでした。
1番下の学年では、4年生を担任したことが4回ほどあります。
それ以外は5、6年生の担任を行ったり来たりしていました。
今年度は初めて「希望する学年を書いた」ということもあります。
「いつかは1年生の担任をしてみたい」という思いがありましたので、初めて希望を伝えてみた、ということです。
実際に1年生の担任をしてみると、「低学年の先生って本当にすごいなぁ」と思うことがたくさんあります。
高学年の子ども達が当たり前のように学校生活を送れるのは、たくさんのルールや学び方、社会生活の基礎となる体験を、共に歩んできた多くの先生方の存在があったのだということを実感します。
しかし、1年生の子ども達の素直さ、ひたむきさには日々癒され、元気をもらえます。
「先生と一緒に遊びたい」「先生に話したい」という一人一人の声と向き合うのはなかなか大変なことですが、それでもあのキラキラした瞳には心をわしづかみにされます(笑)。
「面白くない」という発言について
1年担任としての生活が始まって2週間が経ち、感じたことがあります。
それは、1年生は高学年の子どもよりも、
「面白くない」という言葉を多く口にするなぁということです。
素直な分、正直に言ってくれているのかもしれません。
そう思うと、
これまで高学年でも本当は「面白くない」と言いたかった子がいて、でも高学年だから空気を読んで「お付き合い」してくれていたのかなぁ…と感じ、心が痛みました。
1年生の場合、やったことのない活動に対して、やる前から「面白くない」という場面もあります。
その場合は「まずはやってみない?楽しいかもしれないよ」と言って実際に活動をしてみると、子ども達も「楽しかった!もっとやりたい」という場合がほとんどでした。
算数の授業で…
先日、算数の授業で数図カードを使った「数合わせゲーム」をしました。
いわゆる「神経衰弱ゲーム」ですね。
時間が10分ほど余っていたので、スキマ時間にゲームをした感じです。
1年生は「さんすうボックス」というものを持っていて、その中に様々な算数グッズが入っています。
これもその1つで、このように図と数が対応するように作られた「数図カード」というものがあります。
これらを裏返して、同じ数が出たら当たり、というゲームです。
このゲームは休み時間に自分でやって楽しんでいる子どももいたので、私としては「1年生も神経衰弱は知っていて、楽しいものなのだな」と思っていました。
まさかの「面白くない…」という発言
さて、授業のスキマ時間で、このゲームをした時の話に戻ります。
女の子が私のところへ寄ってきて、こう言いました。
「先生、このゲーム面白くない…」表情を見ると、本当につらそうでした。
私が「どうしてそう思ったの?」と聞くと、その子は
「だってさ、全然カードが取れないし…」と言いました。
授業はもう終わりの時間だったので「そっか。じゃあ今度、一緒にやってみようか」と言って、その場は終わりました。
その時は「子どもによって、ゲームの好き嫌いがあるのかな」程度に考えていました。
しかし、それはきっと違います。
子どもはみんな、いつだって先生から出された課題と一生懸命に向き合い、楽しもうとしているのです。
「面白くない」と言われたからには、課題を出した側に何かしら問題があったということです。
その理由はしばらくしてから、何となくわかりました。
算数部の先生に聞いてみた
私の学校では各教科に専門の先生がいます。
ちなみに私の専門は特別活動です。
算数専門の先生と話していた時に「あ」と気づきました。
その先生が何気なく「授業で時間が余ったら、数図カードで神経衰弱をしたらいいよ」と言って、このようにカードを出したのです。
使う数字が1〜5まで。
枚数は10枚です。
その先生は「最初はこのくらいの枚数でやったほうがいいよ」と、おっしゃっていました。
つまり、私が何も考えずに1〜10までの20枚のカードを使わせてしまったために、先ほどの女の子は「面白くない」と感じたのだと思います。
まだ数への認識を学び始めたばかりの1年生です。
それにこのゲームは
「数を合わせることが楽しい」のです。
20枚も使ったのでは、なかなか数も合わず、面白いはずはありません。
終わりに
この出来事から、
私の中で「ゲーム的な活動は楽しいだろう」という油断というか、思考停止状態が起こっていたのだと思いました。
あの女の子の「面白くない…」という表情を思い出すと、かなり辛いです。
大失敗でした。
次の算数の授業では必ず挽回し、「面白かった」と言ってもらえるような活動にしたいと思います。
そして「数合わせゲーム」を嫌いにならないようにしたいです。
1年担任の大切な役割の1つは、
教科や学習、様々な教育活動を「嫌いにさせない」ことだと思います。
願わくば「学校って楽しい」「勉強って楽しい」と、全ての子どもに感じて欲しいです。
子どもはみんな、充実した楽しい生活を心から望んでいます。
正直に、素直に表出された「言葉の意味」を、これからも考えていきたいと思いました。