学級経営をイチから学び直そうと思いました。
動機については、以下の記事に書いています。
とりあえず学級経営に関する本を5冊読んでみる企画。
第2弾はこの本を読んでみました。
参考・引用文献は以下の通りです。
吉田順(2018)
「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」
学事出版株式会社
本の中で、私が実践してみたいと思ったことについて、まとめていきます。
この記事は、
「私のアウトプット及び、忘れないための記録」
として書いています。
規律のない学級は楽しくない
学級に規律がないと、子どもは落ち着いて生活できません。
場合によっては安心して生活もできませんから、子どもは楽しくありません。
というのが、吉田順先生の考えです。
事前に宣言し譲らない
「ダメなことはダメだ」と、事前に宣言し、譲らない。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p69
事前に宣言しておくことが大切な理由として、
「ダメな理由をきちんと説明し、よほどのことがない限り例外はないことも、その例外のない理由も説明しておくため」だそうです。
先生が「あとだしジャンケン」で、場当たり的な規律を次々と持ち出してくると、子どもは納得がいかないですよね。
「はじめから言ってよ」
という状態になります。
そうなると、子供からの先生への信頼も失います。
子どもに守ってほしいことは、はじめから伝えておいていいということです。
曖昧さをなくす
曖昧さは基準を際限なく譲り、退廃を生むことにつながります。事実、この学級は「教室にいれば可」が基準でしたが、数ヶ月後には「昇降口にはいたのだから、わずかな差だよ。なんで遅刻なんだよ」と担任に抗議する強者が現れました。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p70
これは、ある学級の「授業の遅刻」に関するやりとりです。
基準が曖昧で、先生自身が迷ったり、ブレたりしてしまうと、混乱が起こります。
事前に確認した規律については、自信を持って「ダメだ」と言えるようにしたいと思いました。
吉田順先生は
「事前に譲らない理由も説明していますから、無駄なやり取りはしません」
「あっさり、ばっさり」と「遅刻です」と言い譲りません。
と、書いています。
譲らない規律を教室の正面にはる
私自身の「学級の約束7ヶ条」は、
1 ゴミはゴミ箱に捨てる
2 8時35分に着席していないと遅刻
3 授業の号令は学級委員が1日交替でかける
4 昼食時のヤカンは係が終了時にすぐに返却
5 昼食は班毎で机を合わせて食べる
6 黒板は教科係が終了後すぐに消す
7 清掃は班全員でやり、さぼると罰掃除になる
でした。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p72-73
これを参考にして、私の学級での規律も考えてみました。
1 床に物を置かない。落ちているものは拾う
2 8時30分から朝の会を始める
3 チャイムが鳴り終わるまでに席に着く
4 チャイムが鳴り終わったら、日直はすぐに号令をかける
5 次の授業の準備をしてから休み時間をする
6 誰かが全員に話しているときは「静か」をつくる
7 給食時間と清掃時間は「静か」をつくる
こんな感じですかね。
これは、私の今の学級の実態に合わせて、必要な規律だと感じたものです。
本当はもっとありますが、「口頭の指導だけでは定着していないなぁ」と感じた内容を、とりあげてみました。
もちろん、上から押さえつけるようにこの規律を示すのではなく、この規律が必要な理由を、丁寧に説明したいと思います。
つまり、
「子どもからの承認を得る」
という過程を大切にしたいと思います。
必要な管理に迷わない
必要な「管理」には自信をもって計画的に取り組むことです。管理ができないと、少なくとも学級は崩れます。不正がまかり通り、特定の生徒は好き勝手に行動し、ここに別のいくつかの要因が重なると、やがて荒れにつながっていくのが現実です。〜中略〜
「自主性の尊重」も言葉の響きはいいが、そこに計画的で意図的な取り組みがなければ、自主性はただの放任・好き勝手ということになります。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p83-84
「管理」という言葉の響きは、あまり印象が良くないかもしれません。
しかし、
「管理」がなければ、結局傷つくのは子どもなのです。
大人の社会でも、法律や警察による取り締まりがなければ、無法地帯となり、安心して生活できませんよね。
ここで言う「管理」とは、
「先生が楽をする、都合よく過ごすための管理」
ではなく、
「子どもが安心して学ぶために、必要な管理」
という意味合いで捉えました。
管理とは「生活をつくる」こと
家庭のしつけにも管理がたくさんあります。こういうのは「しつけ」といって誰も否定しません。ところが学級で「管理」というと嫌われます。それならば「管理」ではなく、しつけのように「生活をつくる」とでもしておけばいいのです。学級を管理する目的は「安心で楽しい生活にする」ことをいうのですから、略して管理とは「生活をつくる」ことです。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p84-85
やはり、子どもが「安心で楽しく過ごす」ための「管理」です。
そんな生活をつくるために、互いの約束事を決めておこう、ということですよね。
「そんなことを決めなくても、子どもは自分で考えて行動できるよ」
という反論もありそうです。
私にも、「きっとそう言っただろうな」という時期があります。
それはきっと、学級の一部の子ども達に支えられていたか、先生の素晴らしい人間性がうまく子どもに伝わっていたから、成し得たことではないかと思います。
稀に、自身の感覚で、主体的な学級を育てる先生がいることも事実です。
しかし、私は、ごく平凡な普通の先生です。
そのような稀有な感覚は持ち合わせていませんし、誰もが使えるような学級経営の理念を探ることが、この記事の目的でもあります。
教え方の基本は3ステップ
難しい管理には「やってみせる、一緒にやる、させて褒める」という3つのステップを踏んで教えると比較的定着します。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p86
本の中にあった例として、ゴミはゴミ箱に、ということを教える場面がありました。
□ ゴミが落ちていたら、「誰?だめだよ」と言って拾う。毎回繰り返す。
□ 1週間ほど続け、今度は「誰!汚したのは。○○さん、手伝って」と言う。手伝ってくれた子に「うまいね」と言いながら一緒にやる。
□ そして最後は、「あっ、汚いね。○○さんやっておいてくれる」と頼んでおき、次に会った時に「○○さん、ありがとう。きれいでいいねぇ」と褒める
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p86-87を簡単にまとめました
担任が一生懸命にやっているのだから、それを続けていくと、子どももその価値を納得してくれる、ということだと思いました。
子どもに言ってばかりで、先生自身が行動しないのであれば、子どもは納得しませんよね。
まずは先生が、その背中を子ども達に見せていきたいと感じました。
大事なことに時間を使う
教師は「管理」に得意にならないと、もっと大事なことに時間をかけられません。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p86
これは、大切な考え方だと思いました。
生活の中の些細なことに時間をとられては、子どもとの大切な時間を、どんどん失ってしまうことになります。
本の中で、例として、プリントの回収を工夫する方法が書いてありました。
プリントを配布したら、その場で右肩に大きく1〜10番は黒、11〜20番は青、21番以降は赤で出席番号を書かせます。1年間ですから習慣化します。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p109
色別に分けて、番号順に並べるのが容易になるということです。
これくらいのことは、子ども達に協力してもらって、問題はありませんよね。
こうした作業時間が減ることで、先生の心の余裕も生まれ、もっと大切な仕事に時間を使うことができると思いました。
子どもをよく観る
友だち関係を観る
「何を」観るかで一番最初にやることは「友だち関係」を観ることです。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p90
本の中では、ノート1ページにグループ図をつくり、名前を入れていく方法が示されていました。
グループの閉鎖性などにも注目し、いつも教室にいない集団がいたら、どこにいるのかを把握することも大切だそうです。
これも、感覚的になってしまい、可視化していなかったなぁと反省しました。
グループ図を作る方法については、私も良いアイディアが思いついたので、いつか別な記事で紹介したいと思います。
1日1つ「観る」
・昼食中の子ども
・そうじ中の子ども
・休み時間の子ども
・授業が終わった後の子ども
という風に、1日1つ、どこかの場面を決めて、集中して子どもを「観る」ということです。
これも、様々な場面が考えられますが、汎用性のある方法ですよね。
また、記録の仕方に関しても、本の中で紹介されていました。
子どもの行動を記録する方法についても、良いアイディアが浮かんだので、いつか記事を書きたいと思います。
一人で抱え込まない
これは一番大切なことかもしれません。
学級経営に困った時、一人で抱え込んでしまうと、悪循環を生みそうです。
3つの間が大切
本の中で、「3つの『間』」があると「抱え込み」は防げる、と書いてありました。
それを最後に紹介します。
・無駄な空間(例えば、職員室の空いたスペース)
・無駄な時間(会議も何もない時間)
・無駄な世間話(井戸端会議)
この3つの無駄があると、教育談義が盛んになります。
〜中略〜
「一人で抱え込まない」ためには、このような人間的関わりが不可欠です。
吉田順(2018)「学級経営17の鉄則ー中学校から小学校高学年の学級経営の方針&対策はこうつくる」学事出版株式会社 p103-104
納得だなぁと思いました。
現在の学校現場は、多忙を極めています。
まるで空き時間があってはいけないかのように、様々な業務がびっしりと詰まっている状態ではないでしょうか。
無駄な時間や、心の余裕は悪ではなく、サボっているわけでもなく、誰にとっても必要な時間です。
特に先生という職業は、子どもが登校してきてから帰るまでの、8時間ほどの間、全く休む時間はありません。
頭も体もフル回転です。
今回の記事は、学級の「規律や管理」に関する話題でした。
少し重い内容に感じたかもしれませんが、それらは全て
「子どもの安心と楽しい学校生活」
のために行うことです。
そう考えて、前向きに取り組んでいきたいと感じました。
最後に、様々な示唆を与えてくださった吉田順先生と、その素晴らしい著書に感謝です。
ありがとうございました。