新たな価値を創り出す道徳授業とは
この言葉については、別記事「新たな価値を創り出す道徳授業 〜1年「きんのおの」で驚いた〜」で説明していますので、そちらをお読みください。
ざっくりと説明すると…
子どもが「すでにわかっていること」を
「さらに、よくわかるようになる」ような道徳授業です。
道徳の授業って、「当たり前のことを発表するだけで終わった」とか「知っていること(価値)を、説明しただけで終わった」という授業になりがちではないでしょうか。
私は、けっこうそういう授業をしてしまいます(T ^ T)
同じように困っている先生のお力になれれば…と思い、この記事を書いています。
少しでもヒントになることがあれば、うれしいです!
1年「あおしんごう」の授業
今回の授業も、事前に道徳部のT先生に教えてもらいました。
(私の勤める学校には教科部があり、各教科専門の先生がいます)
この教材は「節度・節制」について扱っています。
・節度→ルール
・節制→ルールを守ろうとする心
小学生にとって「節度、節制」という言葉は難しい。
そこで、「ちゃんとする」等といった、子どもに身近な言葉に置き換えて考えるとよい。
導入の発問
導入での発問は
ちなみに「私はちゃんとしている」と答えた子どもは、26名中13名でした。
つまり、半数の子どもは「自分はちゃんとしているのか不安」な状態です。
もしくは「ちゃんとする」とはどういうことか、「全然わからない」状態です。
「ちゃんとする」ことの正体を探っていく授業にしたいです。
資料を読み、内容を確認
資料の内容をざっくりと説明します。
ある女の子の、下校中の出来事です。
女の子は、お友だちと遊ぶ約束があり、急いで帰宅していました。
横断歩道が青信号だったので、渡ろうとしますが、その時にお母さんに言われたことを思い出します。
「右を見て、左を見て、また右を見てから、渡ってね」
横断歩道の前で立ち止まり、お母さんに言われたようにします。
すると、その直後、車が目の前を通り過ぎていきました。
うちに帰って、お母さんにその話をすると、お母さんに褒められて、ぎゅっと抱きしめてもらった…
というお話です。
道徳や学活の授業ではよく起こることなのですが、
「そもそも何を話しているのか、わからない」
という子どもが、けっこういます。
つまり、今話している話題の意味がわからなくて、授業に参加できないのです。
特に今回の資料では、絶対に押さえておきたい話題が2点あります。
「遊ぶ約束があり、急いでいた」という、子どもが共感しやすい事実は、しっかりと確認します。
お母さんの言いつけを守って「ちゃんとして」いなければ、命の危険があったことを確認します。
この2点のつながりが理解できていれば、授業に全員が参加できるだろうと考えていました。
主発問(これが大切)
女の子は
「ちゃんとしていたから命を守ることができ、お母さんにも褒められました」
しかし、もし、こんなポン太君がいたら、どうですか?
という発問をしました。
ポン太君は、お友だちとの遊ぶ約束を守るために、急いで青信号を渡りました。
ポン太君も、「ちゃんと約束を守るために行動している」のだから、「ちゃんとしている」よね?
遊ぶ約束よりも、命の方が大事だよ
車にひかれちゃったら、約束もやぶることになるよ
「命」と「遊び」では、「距離」が離れているよ。
子どもが創り出した新たな価値
子どもって、本当にすごいですよね。
「ちゃんとするとは、どういうことなのか」
私たち大人は、こんな風に答えが出せるでしょうか?
私は自信がありません(笑)
ちなみに…子ども達がこの答えにたどり着いた後に、私から、
「これは心のコントロールとも言うよね」
と言うと、完全に子ども達は「?」な反応でした…
「突然、何言ってるの?」という感じです。
完全に、私の蛇足でした…。
これは、悪い例として、皆さんも気をつけてください。
先生が子どもの言葉を整理することは、上手にやらないと逆効果です。