はじめに
前記事でもお伝えしましたが、これは私が初めて1年生の先生になって困ったこと、気づいたことを思いつくままに書いています。
前記事の
「②〜基本スキル編〜」では、学期当初に困ったことについて書きました。
③では、さらに学期が進んで、1ヶ月ほど経った頃に気づいたことを書いていきます。
今年度はコロナウィルス感染症の影響で、1学期は2ヶ月ほどしかありませんでした。
ですから後半1ヶ月で気づいたこと、ということになります。
心がけたこと…の前に
心がけたことをお伝えする前に、
1年生にはどうしても必要な支援があります。それは行動の「可視化」です。
つまり、1日の流れや、授業で準備するもの、今日持ち帰るものなどを、
言葉で伝えるだけではなく絵や写真でも“見える化”しておく必要がありました。
これもごく当たり前のことらしいのですが、私にとっては大きな発見でした。
これをすることで、子ども達の動きは格段にスムーズになり、指示をする回数がぐんと少なくなりました。
学校生活の1日の流れ…つまり1時間目は何時から何時までで、休み時間は何時から何時まで、給食時間は…といったことも、アナログ時計のイラストと一緒に掲示しています。
心がけたこと
子ども達が登校するまでに全てを終わらせておく
つまり、教材研究や教具の準備、配布物の準備など、その日に必要なことは全て事前にしっかりと終わらせておきます。
もちろん、これは当然のことです。
しかし、
どうしても時間がなくて、教材研究や教具の準備が中途半端なままで、登校時刻をむかえてしまうことがありました。
そんな日は心に余裕がなくなり、子ども達と丁寧に関われなくなりました。
笑顔も減ります。
特に教材研究はしっかりと終わらせておくことで、その日の授業が私自身も楽しみになります。
先生が楽しいと子どもも楽しくなります。
そして、
教材研究をすればするほど、1年生は授業を楽しんでくれます。
高学年では、どんなに教材研究をしても、手応えを得られない経験を何度もしました。
それが普通だと思っていました。
しかし、1年生は不思議なもので、教材研究をすればするほど、子ども達もそれに応えてくれる気がします。なぜでしょうか…。
1日の流れや配布物を配るタイミング、今日中に子ども達に伝えたいことなども、いつどこで話すのか、という見通しをしっかりと持っておいたほうがいいと感じました。
そうすれば急な予定変更にも対応することができます(先生が)。
常に笑顔でいる
これも先生であれば当たり前…と感じるかもしれません。
ですが意外とそうでもないなぁと私自身は感じました。
1年生は先生の表情や様子をよく見ています。
先生が笑顔で話してくれたら安心して過ごせますし、話しかけやすくなります。
そして、なんとなく今日は楽しい1日だったと思ってくれるようです。
私が「今日は絶対に笑顔で過ごすぞ」と思った日は、不思議と学級も落ち着き、子ども達もルールを守り、がんばって過ごしている気がしました。
もしかすると、1年生の精神状態や学習意欲は、「安心感」や「楽しい」という気持ちに支えられているのかもしれません。
こんな風に書きましたが…実は1年生の先生をしていると、朝どんなに気持ちが落ち込んでいても、笑顔で過ごせることがほとんどです。
子ども達が登校してくると、元気に「ぽん太先生!おはようございまーす!」とあいさつをしてくれます。
そして自分のことや楽しかったこと、今日楽しみにしていることなどを、次々に話してくれます。
はっきり言って、めちゃくちゃ可愛いです。
愛おしくなります。
自然と先生も笑顔になっていきます。
1年生の先生は大変ですが、日々子ども達に癒される、という特典付きです。
たくさん驚き、一緒に楽しむ
1年生には「教えないといけないこと」がたくさんあります。
学校生活の約束やマナー、授業の進め方、そうじや給食のこと、学級の当番活動や係活動。
そもそも、“ひらがな”や“数”、ノートの書き方や鉛筆の持ち方まで…学校生活や学習の基礎的なことを、全て1年生で学習するのです。
そうなってくると、
どうしても先生から子ども達への、一方的な関わり方が多くなってくる気がします。
しかし、1年生はすごいのです。
1年生は大人以上に、一つの物事から様々なことに気づき、考え、自分で問いをつくることができます。
ひらがな1文字だけで30分くらい授業ができるほどです(少し大げさかな…)。
たった一つの文字から、たくさんのことに気がつくのです。
「前に習ったあの文字と、ここが似ている」「でもここは違う」「この文字を使った言葉を知っているよ」「自分でも書いてみたい」「どこをはらうの?はねるの?」「こう書いた方がカッコよく見えるよ」など…全部ひろってしまうと、正直授業が前に進みません。
そのたびに私は「ヘェ〜、なるほど。すごいね!よく気がつくね」と、子どもの姿に驚いています。
それ以外にも、算数や道徳の授業でも、しっかりと考えを深める姿が見られます。
一生懸命な分、その姿は高学年以上に多く見られるかもしれません。
そして1年生は、日々の成長がはっきりと見てとれます。
昨日できなかったことが、次の日にはできるようになっていたりするのです。
ちょっとしたきっかけで、突然生活態度が改善することがあるのです。
もはや奇跡です。
そんな子ども達のがんばっている姿やひらめきに驚き、一緒に楽しんでいくと、1年生の先生って本当に幸せだなぁと感じることができました。
おわりに
1年生の先生になった最初の頃(1ヶ月くらいかなぁ)は、正直本当に苦しかったです。
これまでに培った自分のスキルが全く通用しない、いやむしろ元々何のスキルもなかったのではないか…とさえ思いました。
そこから私を救ってくれたのは、同僚や先輩からの助言、子どもと向き合う姿、たくさんの本でした。
1年生の発達段階に合った言葉、必要な支援を理解できれば、先生としての基本的な姿勢や理念は、高学年でも低学年でも変わらないと感じました。
あとは目の前の子ども達のためだけに教材研究をし、自分にできることを考え、実行していくだけです。
まだまだこれから、大変なことはたくさんあると思いますが…2学期も素敵な1年生と共に、たくさんの驚きと楽しみがある毎日にしたいと思います。