みなさんは、どのような手段で保護者を味方につけているのでしょうか。
何となく、普段の雑談や関わり方で、いつの間にか保護者と仲良くなり、味方になってもらえる先生も多くいます。
しかし、
どんなに人間性の素晴らしい先生でも、保護者から不信感を持たれたり、あらぬ誤解から関係がこじれたりすることがあります。
先生とは教育のプロです。
「保護者を味方につける」ということについては、「漠然と」ではなく、「明確かつ戦略的に」行っていく必要があります(表現が穏やかでないように感じたら、すみません)。
世の中のほとんどの先生は、使命感が強く、目の前の子どものために必死でがんばっています。
特に日本の先生は、学習指導だけにとどまらず、清掃、食育、学校行事、保健、進路の指導、人間関係の相談、成績表の処理、教材の選定・作成、会計処理及び報告、行政からの文書処理、各種研修会への参加、校内の組織的研究…この他にも、様々な仕事を1人でこなしています。
はっきり言って、かなりのマルチタスク人間でないと、現代の先生は務まりません。
世界一、ローコスト・ハイパフォーマンスな先生が、日本の先生です。
そんな、
がんばっている先生だからこそ、保護者からも、正当な評価をもらってほしいと考えています。
今回の記事を読むことで、もう一つ先生の仕事を増やしてしまう事になりますが、長い目で見るとそうでもありません。
今回紹介する
「学級だより」の実践は、先生の仕事を楽にする「汎用性の高い実践」だからです。
学級だよりに取り組むことで、楽になる仕事がたくさんあるのです。
しかも、学級だよりの教育的効果は絶大なので、他の仕事と差し引いても「プラス-マイナス0」どころか、「プラス100」くらいだと考えています。
保護者が味方になる方法
これはズバリ!学級だよりを使って行います。
今回お伝えする以外の、
学級だよりの書き方については、別な記事で紹介していますので、興味があればご覧になってください。
今回の記事では、「授業の様子を伝える」ことに特化して書きたいと思います。
保護者は、年に数回の授業参観日でしか、学級の様子を知ることができません。
ですから、日々の様子を発信してくれる先生は、非常にありがたいのです。
コロナウィルス感染症対策で、授業参観ができない現在の状況なら、なおさらです。
授業の様子を発信することは、「先生の専門性」や「子どもの学習の様子(保護者は意外にこれも気になっている)」を伝えることです。
それは、保護者の「安心感」へとつながります。
「わからない」「不明確」といった気持ちは、不安感や不信感につながります。
だからこそ、どんどん情報発信をするのです。
発信する内容で最も無難で、先生にとって書きやすいものが「授業の様子」です。
これは、先生であれば誰が書いても高品質なものになるので、保護者も「さすが」と思ってくれます。
また、「授業の様子を発信すること」は「授業の様子を記録すること」です。
それが結果的に先生の仕事を楽にするのですが、そのことについては後ほど詳述します。
授業の様子を発信すること
授業の様子を発信する方法は、主に3つあります。
① 「文章のみ」で伝える
② 「板書写真」と「文章」で伝える
③ 「授業場面の写真」と「一言コメント」で伝える
どの方法がいいかは、ご自分の特性に応じて、書きやすい方を選べばいいと思います。
オススメは、この3つの方法を日替わりで使い分けることです。
「文章のみ」で伝える
写真を撮り忘れた時などは、これでも十分だと思います。
算数の授業です。
普段であれば、授業の内容を伝える場合がほとんどですが、この学級だよりでは「子どもの成長や変化」を伝えています。
学期当初だったので、「学び方がよりよく変化した場面」を発信しました。
「どういった学び方に価値があるのか」、「先生は何を大切にしているのか」が伝わるように意識しています。
これは、道徳のオリエンテーション・初めての道徳授業の様子です。
子どもの発言内容を掲載することで、授業の様子がより鮮明にイメージできます。
さらに、我が子の名前が掲載されれば、保護者も嬉しいですよね。授業の流れを、時系列で書いていく方法です。
これが一番書きやすい型かもしれません。
「板書写真」と「文章」で伝える
これは1年生の算数「ふえるといくつ」の授業板書です。
これを学級だよりに貼り付けて、その下に授業の説明を書いていきます。
普段の何気ない授業ですが、こういった情報も保護者にとっては、ありがたいはずです。
子供が発言したことを、名前付きで板書しておいたり、子どもが直接黒板に書いたことを見たりできるので、割と貴重です。
また、子どもから出た「いい言葉」も板書しておき、学級だよりでとりあげましょう。
授業の説明として、「ふえると」という言葉を、子どもたちは「たすと」「あわせると」「ぜんぶで」といった感じで、言い換えることもできていた…ということも、先生が意味づけをしながら発信すると効果的だと思います。
「授業場面の写真」と「一言コメント」で伝える
写真の大きさや配置場所、吹き出しの数など、内容に応じて自由に変えているので、これは本当に一例です。
1枚1枚の写真に一言コメントを添える時もありますし、場合によっては何もコメントをつけない写真もあります。
これは、
たくさん写真を貼って、吹き出しを次々にコピペして書いていく方法ですが、おそらく「1番早く書ける方法」なのではないかと思います。
まとまった文章を考える必要がなく、思いつくままに一言コメントを書くだけなので、
写真さえたくさん撮っておけば、かなり効率的な方法です。
iPadを使えばもっと楽になる
学級だよりをパソコンではなく、iPadで作る方法もあります。
これは、
「手書きの方が早く書ける」「手書き風の学級だよりの方がいい」と考えている先生には最適な方法です。
私はiPad用の「Good Note 5」というアプリを使っています。
900円くらいで買えます。
はっきり言って、iPadは手書きを超えています。
iPadを使うことで先生の仕事は劇的に変わります。
詳しく知りたい方は
「iPadは先生にとって最高の道具」という記事で紹介していますので、ご覧になってください。
iPadでは、Apple Pencilを使って、手書き風にすることもできれば、キーボード入力もできます。
レイアウトによって使い分ければいいと思います。
また、タイピングが苦手な方や、手書きが好きな方は、すべてApple Pencilで書けばいいと思います。
はっきり言って、紙と鉛筆の数倍早く、綺麗に書けるので驚きますよ。
iPadは、教育現場において様々な使い道がありますので、購入して損はありません。
この学級だよりも、おまけで…。
写真をお見せすることはできないので、雰囲気が伝わりにくいですが…。
このように、3つの話題を1枚のお便りでお知らせすることもあります。
なぜ先生の仕事まで楽になるのか
冒頭で、「学級だよりは先生の仕事を楽にする」とお伝えしました。
正確には、
学級だよりで「授業の様子を伝えること」が、先生の他の仕事を楽にします。
なぜ「授業の様子を伝えること」が「汎用性の高い実践」と言えるのでしょうか。
こういうことです。授業の様子を伝えるために、いつの間にか「授業記録を毎日つけている」ことになるのです。
このようにして
書きためた学級だよりを、学期末に読み返してください。評価の資料が驚くほど豊富なことに気がつくはずです。
だって、子ども一人一人の具体的な姿が、豊富に残されているのですから。
保護者への説明責任のための資料も、「大量にある」ということになるのです(説明責任のためにやっているわけではありませんが、一応)。
これも、当然のことです。
毎日、自分の授業を振り返り、子どもの姿を見つめる作業をしているのですから。
毎日20分の積み重ねは、非常に大きいですよ。
授業の振り返りを毎日やっているようなものです。
授業力や資質が向上するのは当然です。
終わりに
学級だよりで、「授業の様子を伝える」ことのメリットを、お伝えしてきました。
○ 保護者を味方につけることができる
○ 評価の質を上げ、学期末業務を楽にする
○ 授業力・資質が向上する
毎日たった20分の作業で、こんなにも教育的効果の大きい手立てが、他にあるでしょうか。
しかも、学級経営まで、確実に楽になる方法です。
保護者が味方になれば、子どもも必ず味方になります。
つまり、学級は絶対に荒れません。
先生は教育のプロです。漠然とした手立てではなく、「明確な手立て」を持つ必要があると思います。